神津島に続く

 ジェット船は島の東側の多幸湾に午前11時に着岸した。島の中学生達が迎えてくれているが自分のことではないだろう。2学期から島の学校に通う転校生を想像した。神津島は東京から船で3時間のところにある伊豆諸島の南の方にある島、大島よりも南、三宅島よりは少し北側にある。人口約二千人、周囲22KMの漁村で、一応東京都に属している。多幸湾に面した天上山にはいつも雲がかかっており、神の住んだという伝説を思い出させた。神というか仙人な感じ。この山は1時間程度で登頂できるらしく、天気の良い日は富士山まで見渡せるらしい。

多幸湾
多幸湾
前浜
前浜
天上山と村落
天上山と村落


 宿の人の送迎で島西部の村落にある旅館まで送ってもらう。村落に面して前浜というビーチが広がっており、大抵はここで遊ぶらしい。あまり人がいなかったが、綺麗な海だ。一日目は・・

(中略:以下前園さんと一緒に行った自主トレについて。極秘!?トレーニングをした場所探しや、グラウンドで久々にトレーニングをしたこと。そしてZonoと盛り上がったこれからについて…等)

 2日目もとても良い天候に恵まれた。午前中から自転車を借りて出発する。周囲22キロ程度の島なので自転車で十分だが、坂が結構多い。下り坂はとても気分がいい、この島はどこにいても風が強いので風を切って下るのだ。程なくして2つ目のビーチ、沢尻湾。海を望むようにして廃墟になったホテルがある。当然ながら潜入しようとしたが、建物の造りがそれ程不気味でなかったので止めた。少し進んだところにあるトンネルを過ぎるとすぐに神津島温泉が見えてくる。帰りに寄ったが、しょっぱくて泥っぽい源泉のような温泉だった。

トンネル後の光景
トンネル後の光景
阿波命神社
阿波命神社
水配り像
水配り像
トロッコ(1)
トロッコ(1)
  トロッコ(2)
トロッコ(2)
  岩

 温泉の先にはめいし海岸展望台がある。展望台には1つだけ王様のような椅子が用意されていて海を一望できる。風が強い。すぐ近くには3つ目の長浜がある。砂浜というより大きめの石が多い浜だ。ここは満潮時に天然のプールができるようになっていて、波もそんなに強くなかった気がする。近くには阿波命神社がある。
 島の一番北側に位置する赤碕が午前中のうちに見えてきてしまった。その前にはトロッコの跡があり、少し遊んだ。赤崎には木組みの遊歩道があって、飛び込み台や展望台がある。海は足が着かないくらい深くてシュノーケリングなどもできる場所だ。赤崎の展望台から北側を見ると隣の新島や式根島を見ることができる。風が強い。ふと腹の辺りに注射でさされたような小さな激痛が走る。白いものがあり、すぐに振り払った。虫か、生き物の気配ではなかったが、この強風で遠くから飛んできた砂の粒が直撃したらそのくらい痛いのかもしれないと思った。その時はそのくらいにしか思わなかった。

赤崎(1)
赤崎(1)
赤崎(2)
赤崎(2)
千両池への道
千両池への道


 午後も過ぎ、自転車で来た道を引き返す。帰りは下り坂も多く比較的楽だった。前浜を見渡せる店でビールを飲む。そして更に南へ向かう、この島にきた訳のひとつ、千両池に行く為だ。宿の横の細い道を自転車で過ぎるとすぐに坂の多い山道になる。風が強い。自転車を押しながら進まなければならないところも多い、帰りは楽そうだなと考えていた。星空が綺麗とわれるヘリポートを過ぎ、ジュリアの(でかい)十字架を過ぎる。今は夕方の5時頃なので星は見えない。千両池の看板が見え、少しすると自転車では進めない道まで来た。


千両池(1)
千両池(1)
千両池(2)
千両池(2)
千両池(3)
千両池(3)
千両池(4)
千両池(4)
  千両池(5)
千両池(5)
  千両池(6)
千両池(6)


 千両池までは崖を下らなければならない。ロープを握り、少し崖下を見ると巨大な千両池が見えた。外海は波打っているが、千両池はその名の通り池のように静かだ。しかし、風が強く水面には細かい波紋が見える。進むごとに崖は険しくなり、風の強さも一際危なくなってきた。一歩間違えば死ぬ。しかしこの挑戦をハイスピードでこなすのだ。次の一歩を瞬時に考えてなるべく早く進む。崖を降りきって千両池に近づく、巨大な池に面する。風が強い、後ろからの強風で吹き飛ばされそうになる。その神秘的な光景。この強風は。とても吸い込もうとしているとしか思えない。カメラを置いても転がってしまう。足を一歩前に出し、どうにかこらえる。太陽は西の空に沈もうとしている。ここが地球のような気がしない。その時、注射針の感覚が瞬時に蘇ってきた。(つづく)




参考文献:
富士・箱根伊豆 国立公園 神津島