島村 壮一  pink floyd 「meddle(おせっかい)」
1. One Of These Days/吹けよ風、呼べよ嵐
2. A Pillow Of Winds/ピロウ・オブ・ウィンズ
3. Fearless/フィアレス
4. San Tropez/サン・トロペ
5. Seamus/シーマスのブルース
6. Echoes/エコーズ
 ピンクフロイドを腐るほど聞いた俺が結果 的に思ったことは、ピンク・フロイドは やっぱ売れちゃイケネエバンドだと思う。700週(18年間)連続チャートインな んていう途方もない記録をうち立てた「狂気」を聞いてでさえ、またそんな事実があ るのにでさえである。だって、ぜんぜんサービス精神ないですよこのバンド。客さけ てる。「わっかるかなあ、わっかんねえだろー なあ」の世界だ完全に。挙げ句の果 てに後期のアルバム「アニマルズ」のツアーで 「結局客とバンドのコミュニケイションはあり得ないどころか壁が存在する」とか言 い始め、次作「ザ・ウォール」のツアーでステージ上にホントにばかでかい壁をつ くっちまった。アリーナ級の会場でだぞ。写真見たら大笑いですよこれ。しかしこの バンド、そんな一面とはうらはらにアルバムは腐るほど売れる。「狂気」、「炎」、 「ザ・ウォール」、「鬱」、「対」の5枚全部全米1位。「狂気」なんか全世界で2 500万枚とか売れてるんですよ。すごいでしょ。同じくらいアルバム売ってる奴は 多分エルトン・ジョンが近いと思う。ロック界で一番アルバムの売り上げとコマー シャリズムがリンクしないバンドですな。
 ともあれ、まあ俺はフロイド気違いだから何だかんだ言って、大好きだ。特に初 期。メッセージ性強くプロダクション過多な「狂気」以降の作品はちょっと近寄りが たいが初期の作品は荒削り、危うげ、攻撃的、トリップ的要素たっぷりでホントいけ てる。俺は高校時代良くフロイド聞きながら部屋の明かり消してローソク立てて線香 (毎日香)立ててどっかに「旅」に出た(嫌な高校生)。曲によって場所は変わるの だが、一番素晴らしいのは海底旅行で、正直本当にトリップできるのはこれだけのよ うな気がする。んで、こんときの曲がこのアルバムに入ってる「エコーズ」だ。さて やっと解説。
 このアルバムは確か8作目。中期フロイドの代表作ですな。フロイドで一番音楽的 に穏やかなアルバムです。全体的にフォークロックのフロイド的解釈と言った曲が並 ぶA面と、23分半の大作「エコーズ」がB面全部を占める。 1,「吹けよ風、呼べよ嵐」・・・ナンセンスな邦題に時代を感じるこの曲、かの有 名なレスラー、タイガー・ジェット・シンのテーマ曲だったらしい。俺はこの曲を聴 くと、映画「ネバー・エンディング・ストーリー」に出てくる虚無が怒濤のように押 し寄せ世界を滅ぼしてゆく様を思い出す。淡々と刻むロジャー・ウォータースのベー スが戦車のように力強く突き進む様を表現し、時折瞬間的に吹きすさぶ突風のような リック・ライトのオルガンの音、混沌の境地を彷徨う生命体の断末魔の叫びのような デイブ・ギルモアのスライドギター、ずっこけたドラミングで雰囲気をぶち壊してく れるニック・メイソンのドラム、全ての音が渾然一体となって世の中の全てを覆い尽 くしてしまう様なパワーを生み出している(嘘。それほどでもない。)。 最初聞いたときはすんげえ曲だと思った。でも、今はもう飽きた。よくとばす。でも 名曲です。 2.「ピロウ・オブ・ウィンズ」・・・嵐の後の静けさ(そんな言葉、微妙に無 い。)といったところですか。この頃のフロイドが得意な浮游感のあるフロイド的 フォーク・ロックだ。メジャーからマイナーへの曲展開が素晴らしい。間奏が哀愁 漂ってて素晴らしい。何よりもやっぱこういう曲におけるこの雰囲気はフロイド独自 のものだ。 3.「フィアレス」・・・俺はこの曲結構お気に入りです。単純に曲が良いですよこ れは。カワイイ系というかなんちゅうか。まあ、フツーの曲ですな。フツーに良い。 ラストに入ってる歓声はイギリスの有名なサッカー場で録音したらしい。詩にロ ジャーの思うところが。暗い詩だ。 4.「サン・トロペ」・・・なかなかフレンチな雰囲気でよろしいですね。 こうい う曲をやるとこのバンドの下手くそさ加減が露骨に現れて気分が良い。並み居る馬鹿 テクプログレ軍団の中でトップクラスのピンクフロイドがこの演奏力・・・。カッコ ヨスギマス。あ、この曲お気に入り。 5.「シーマスのブルース」・・・ブルースっぽい小曲。犬の鳴き声はニックの飼い 犬のものらしい。 6.「エコーズ」・・・俺の生涯の名曲。フロイドの中で一番好きだ。前期、中期の 全てがこの一曲に集約されている。さらに詳しい解説。  この曲は4部構成になっている。まず1部。潜水艦のソナー音が静寂に包まれた深 海にたたずんでいることを表す(勝手に解釈)。この冒頭のソナー音はリックライト がスタジオでセッション中突然見つけて録音したもの。本番のレコーディングででこ の音が出せなっかったため最初録ったやつをつかったらしい。しばらくすると主題で あるメロが始まる。実に名曲だ。中間のギターリフが深海を彷徨うさまを表す(勝手 に解釈)。その後のギルモアのギターソロは俺の中で3本の指に入る名ソロ。 2部。フィルインのない淡々としたニックのドラムを聞いていると打ち込みの馬鹿馬 鹿しさを感じる。下手くそだが生々しく緊張感が溢れている。このパートはキーボー ドとギターの掛け合いだが俺はあえてキキドコロはドラムだと思う。 3部。深海を当てもなく彷徨うことに絶望を感じそれに飲み込まれ呆然とし、やがて それは巨大な恐怖となって自分に襲いかかってくるさまを表す(勝手に解釈)。以前 俺はこの曲をバンドでやってドラムを叩いたのだがここはドラムが入って無く暇なの で、俺はこの恐怖空間の中で、牛丼を食った。 4部。勇気を振り絞り深海から上昇し海面 を目指す様を表す。そして海面へ。さらに 地上へ。そして俗世間に生還。 この曲はキューブリックの「2001年宇宙の旅」のラスト23分間と完全にシンク ロするらしい。そしてことからフロイドは「エコーズ」を、この映画を何か意識して 作ったのではないかという説が最近流れている。この頃キューブリックとフロイドは 交流がありこの映画のサントラを担当すると言う話しもあった(流れたけど)ことか らまあありえる説でもある。まあ今度やってみますわ。
 と、こんな感じです(長くなったな)。こう、改めて全曲通 して歌詞も確認しなが ら聴いてみると、牧歌的で穏和なムードが漂い人肌の安らぎが音、歌詞にはあるもの の、「結局なんなのさ?平和で何がまずいのさ?」と聞きたくなるような歯がゆさが 残った。フロイドが「平和いいねえ。でもなあ・・、アレとアレがなあ・・・いまに しっぺ返しを食らうような食らわないような・・・」って独り言をブツクサ言い残し てどっかに消えてったってかんじかなあ。まあそこいらへんの曖昧な表現をする事に よってリスナー側に想像する余地を与えているのだとおもうのだが・・・。そんなフ ロイドってなかなかニヒルでニクイやつらだ。  謎。やっぱようわからんバンドだ。このバンド、やっぱオススメしません。俺が聞 いてりゃ良いっす。世の中にゃ他にいろいろ素晴らしいバンドがいっぱいあるぜよ。